第151回国会 衆議院 国土交通委員会 第10号
2001年04月06日
○阿久津委員 民主党の阿久津幸彦でございます。
本日は、倉庫業法の改正案について質問をさせていただきたいと思います。
今、倉庫業は大きな変容の過程にあると言われております。大量生産、大量販売が中心であった時代の倉庫業は、平準化した荷物の保管が中心業務でした。しかし、今日のように多品種少量生産が中心になってくると、倉庫業務も出入庫の頻度が多くなったり、また在庫期間の短縮といったことへの対応を迫られるようになります。また、貨物管理の徹底や物流コスト削減のため、荷主が物流業務の合理化を図るようになってきています。
こうした中で、倉庫業は、従来の在庫スペース中心の保管型倉庫から、一時的な仕分け、荷ぞろえスペースとしての、流通型倉庫としての性質を強めてきていると言われております。
一方、倉庫業は、その九割以上が中小零細企業によって構成されており、特に冷蔵倉庫業などは九八%が中小零細企業です。一般に倉庫業者は荷主に対する立場が弱く、長引く不況とデフレ圧力の中で、そのしわ寄せがこれら中小零細企業の方々に集中するといった事態も生じてきています。近年、ユーザー企業の業績悪化から倉庫業に対する料金引き下げ要求が強まり、また倉庫業者間での顧客獲得競争も激化していることから、価格の下落が著しく、その結果、倉庫業の採算性は大きく低下しております。
今回の倉庫業法改正案は、倉庫業への参入を許可制から登録制に変え、また料金の事前届け出制を廃止するなど、倉庫業に対する規制緩和に着手することをその目的としております。
言うまでもなく、私は、中央官庁が経済や市民社会のあらゆることに関与してきたこれまでの日本社会を改め、規制緩和と地方分権を積極的に進めていかなければならないと考えております。その一方で、規制緩和ないし規制改革というものは、実体経済のあり方や業界の実態を十分に踏まえた上で、それとマッチするように行わなければなりません。
以上の点を念頭に置きながら、ここでは、本改正案が倉庫業の現状を十分踏まえたものになっているか、そうした点に注目しながら質問を行っていきたいと思います。
実は、きょうは政局の方も大分動いておりますので、扇大臣の方にはそちらの方の質問からとも思ったんですが、同僚の樽床議員の方がそちらの質問を中心にいくということでございますので、私の方は、いきなり本論の方から入らせていただきたいと思います。
最初に、内外価格差について伺いたいと思うんですが、衆議院調査局国土交通調査室がつくっていただきました、今皆様のお手元にもございます倉庫業法の一部を改正する法律案についての資料、この資料を見ますと、「国際競争力強化のために内外価格差の是正が求められるが、この内外価格差を大きくしている要因の一つに、日本の物流コストの高さが指摘されている。」そのように書かれております。
私も日本の物流コストの高さが指摘されているということをよく聞くんですが、実際に私なりの調査をしてみると、どこがどういうふうに、なぜ日本の物流コストが高いのか、統計上からはなかなか出てこないんですね。
といいますのは、一つが、以前の経企庁が調査したものです。これによると、物流コスト、個別に運輸関係とかという形のくくりでいろいろな資料が出ているんですけれども、ほとんどが、日本の一に対してニューヨーク、パリ、ロンドンあたりはもうちょっと安い。せいぜい一、二割安い程度なんですね。これは、一、二割は大きな違いじゃないかと言うかもしれませんが、為替レートの問題がありますので、誤差に近い部分じゃないか。
それから、先日、国土交通省の政府委員室でこの内外価格差の調査の資料をいただいたんですけれども、これを見ても、例えばトラックなどは、近距離は日本の方が安いんですね。長距離は日本の方が確かにアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどに比べて高くなっている。なかなか内外価格差を調べるのは難しいとは思うんですけれども。
そこで、ちょっと扇大臣に伺いたいんですけれども、日本の物流コストの高さが指摘されておりますが、その理由はどこにあるというふうにお感じでしょうか。どこの部分がなぜ高いと言われるゆえんになっているのか。
物流業種といえば、鉄道貨物運送業種、トラック運送業、海運業、航空貨物運送事業、利用運送事業、倉庫業、港湾運送業、トラックターミナル業、いろいろなものがあると思うんですが、その辺、なぜ日本の物流業、コストが外国に比べて高いと言われているようになっているのか、お答えいただければと思います。
○扇国務大臣 今阿久津先生が、あらゆる面がすべてであると、余りたくさんおっしゃいました。私は、それらがすべて総合的に高いと言わざるを得ないと思います。
まず、人件費もございます。それから、先生のお手元に行っていると思いますけれども、あらゆる面で、地価も高い、あるいは賃金が高い、燃料費等の水準も高い。あるいは輸送単位、輸送頻度などの輸送条件ですね。それから交通結節点などのインフラ整備の不足というのがございます。
私は、これはいつも申し上げていることですけれども、外国に比べてどれほど高いというのは、各業種によって一つ一つ挙げていかなければいけないと思いますけれども、今阿久津先生が例を挙げられましたことのすべてであろうと思います。
いつも私が女性の会合でもわかりやすく言いますことは、百キロのものを岩手から横浜に送れば千四百九十円かかる、その同じ百キロを横浜から北米に送れば千百円である、それ一つとってみても、いかに高いかということがわかるでしょうと。
では、それがなぜそんなに高いんだろうかということは、例えば先生が今例を挙げられましたけれども、空港、港湾、道路の連結の強化が残念ながら今までできていなかった。それは、行政的にいえば、運輸省であり、建設省であり、今までの縦割り行政の中での連結ができていなかったと言えるかもしれません。
けれども、例えばインターチェンジから十分以内に到着可能な国際空港あるいは国際港、空港も港も十分以内にインターチェンジに入れるような状況はどうなのか、しかも一時間以内に主要都市に荷物が運べるのはどうかといいますと、御存じのとおり、アメリカでは、空港では九八%、そして港湾では九三%。ヨーロッパでは、十分以内というのは空港では七二%、港湾では九三%。ところが、日本の現状は、空港までは大体四六%しか達成ができていない。しかも、港湾ではもっと悪くて、三三%である。
それは、今私が申しました、空港と港、道路、都市、この連結がなかったということが二十世紀の大きな反省であろうと私は思いますので、そういうことは一つ一つ、国土交通省になったので、これからは立体的な図面が描けるために、私は物流コストをそれだけでも下げることができるのではないか、そういうふうに努力していく政策を国土交通省としてはやっていくということで、全部が一遍に国際的にはなりませんけれども、私は、目標は、倍増したい。九〇%まで行かなくても、今の四〇%台を、せめて八〇%を目標に頑張っていきたい。全部の政策ではありませんけれども、先生が今るるおっしゃった品目すべてにかかわりますけれども、例えば今私が申しましたようなことで物流コストを安くしていきたいというふうに努力していくつもりでございます。
○阿久津委員 扇大臣は海外も随分行かれていると思いますので、特に日本の航空、飛行場がなかなか便がよくないということも含めて、その辺の距離の部分の指摘もされました。
確かに、あらゆる分野が積み重なって物流コストが総体的に高くなってしまっているんだと私も思います。今回は倉庫業法ということですけれども、各分野、勇気を持ってそれぞれ規制緩和に向けて取り組んでいただきたいというふうに思っております。
そこで、物流の問題に移りたいと思うんです。
物流に求められる機能が高度化、多様化するなど、物流業を取り巻く環境は変化しております。日本の物流における倉庫業の役割、社会的使命についてどう考えるか、倉庫業を取り巻く現状についてどう認識しているか、お答えいただきたいと思います。扇大臣にお願いいたします。
○扇国務大臣 冒頭に私が趣旨説明させていただきましたように、戦後、今日までのこの長い間、倉庫のイメージというものが本当に変わってまいりました。
阿久津先生も御存じのように、私も主婦の一人ですけれども、季節外のものを預けようとか、子供が成長して幼児期に使ったものもうちに入り切らない、そうすると乳母車も次のときまでは不用だから、とにかく倉庫に預けよう、例えばお金持ちの皆さん方はこのごろは高級な毛皮も預けるというようなことも言われておりまして、今までの倉庫という概念が今日は大きく変わってきた。
狭い、あるいはそこで子供が何人も生まれたら、要らないものは、季節外のものは倉庫に預けて、そして限られたスペースを広く使おうとか、本当に私は倉庫の概念が、一変したと言うのはオーバーかもしれませんけれども、本当に概念が変わってきたということだけは、今の現実を見ますときに、やはり時代だなとか、あるいは生活の合理性をみんなが考えてきたなというふうに、実感としては私感じております。それは先生も同等のお考えであろうと思います。
では、果たして今までの倉庫業というイメージのままでいいのか。ただ安易に物を預けても、預けた物の保証はだれがどうするのかというところが、今までの倉庫業ではそこが守られていなかった。今の時代に合った倉庫業法というものに、広域的に、時代に合ったように変えていかなければならない。そういうふうに思って、今回、法案を提出させていただいたということでございます。
少なくとも、保管機能だけではなくて、流通加工機能、例えば包装ですとか詰め合わせですとか組み立て、配送等、そういう意味での機能の拡大性。倉庫に置いたものを再活性する。今までは、預けたままで寝かせていたわけですね。そうではなくて、今は、先生が先ほどおっしゃいました、物流の中での倉庫の活用、一時期であってもすぐ荷物を出すとか、そういうことでの倉庫の利用範囲が拡大しているということで、私たちは、利用業者間の競争をもっと促進しよう、そしてよりよい業者間の創意工夫を生かした多様なサービスの提供が事業の効率化、活性化を図るようにということの保障のためにも本法案に盛り込んだつもりでございます。
○阿久津委員 今、扇大臣が指摘されましたとおり、確かに日本の倉庫業は、本当に相当変わる時期に来ているんじゃないかと思うのです。
これまでは、倉庫業といえば、会社対会社で、穀物などを主に集めるという機能が中心でした。後ほどまた御質問させていただきますけれども、例えばトランクルームなどは、まさに消費者に対して直結する形の倉庫業になってくる。その新しい分野を十分に発展させれば、私たちの生活はもっともっと豊かにすることができると私は思うのです。本当に狭い日本、そのスペースの中で、自分が借りているのは二DKだけれども、でも倉庫業をきちんと使えば、もっともっとスペースを広く使う、こういったことも可能だと思っております。
一方、大切な部分が、規制緩和を進める。経済的な規制は緩和するけれども社会的な規制をどうしていくか、その問題も確かにあると思うのです。
そこでまず、規制緩和の部分についてお話を伺いたいと思うのです。
平成十年、行革推進本部規制緩和委員会が倉庫業について見解を発表されました。平成十一年には規制緩和推進三カ年計画が閣議決定され、平成十二年、同計画の改定により十二年度中に結論を得ることが決まりました。その規制緩和三カ年計画では、倉庫業の参入許可制について、政府の規制を最小限にする方向で検討するとしておりましたが、今回の倉庫業法改正の基本的な考え方について、泉副大臣にお伺いをしたいと思います。
○泉副大臣 先ほど来先生御指摘のように、国民生活の変化あるいは物流の高度化、こうしたことから倉庫に期待される機能が変化をしてきておるわけでございます。そうした中で、政府の関与は最小限にという考え方で今回の法案の改正に取り組ませていただきました。
若干、歴史的に見ますと、当初、倉庫業法ができましたときには、構造基準一つとりましても、あるいはまた物品の管理のあり方等につきましても、必ずしも十分ではなかった。そうしたことから、経営の健全化ということも視野に入れた規制が必要であるということで、これまでは許可制をとってきたわけでございます。
先ほどの御指摘のように、単なる保管機能だけではなくて、流通加工機能や配送機能というような新しい機能が出てきたことを背景に、今日では、倉庫の構造設備の水準、そうしたものが相当程度向上してきております。また、経営基盤も相当足場をしっかりしてこられたのが今日の状況でございまして、そうした事柄から、個々の事業者について国が必要以上の関与をすべきではない、必要性も乏しくなってきておるというのが第一義でございます。
むしろ、利用者の利便を増大する、そして新規事業者の参入を容易にし、市場原理に基づく競争原理の中で国民へのサービスに努めていただく、こういう考え方でございまして、一条の「目的」のところにもそうした利用者の利便ということを書き込ませていただいた背景があるわけでございます。
倉庫業界の基盤がしっかりしてきたということと同時に、先ほど来申し上げました、流通のあり方が変わってきた、そして国民へよりよいサービスを提供するという、そうした考え方に基づきまして今回の法律案の改正をお願いした次第でございます。
○阿久津委員 そうすると、今度の改正によって、行政の裁量というものは狭まるのですか、広まるのですか。泉副大臣、ちょっとそこだけ確認したいのですけれども。
○泉副大臣 行政の関与という意味でよろしゅうございますか。
○阿久津委員 関与というよりは、法律に基づいて行政がそれを運用していくわけですけれども、あいまいな法律であれば、それだけ運用するときの幅ができてしまいますね。それに対して、きちっとした法律であれば本来狭くなるはずだと思うのです。今回の法律によってそこのところがどうなるかということなんです。
○泉副大臣 一言で申し上げれば、狭くなっております。
○阿久津委員 私は、その行政裁量を狭めていく努力というのは、どの法律にあってもそうなんですけれども、極めて大切なことだと思っております。運用面で、質問しながら、確認しなが
ら、そこの部分をはっきりして、あいまいなままじゃないような方向へ持っていきたいというふうに思っております。
それで、今回の規制緩和の法律なんですけれども、では業界はどう考えているのか、あるいは労働組合の方はどう考えているのかというと、どうもすんなりとは賛成をされていないようなんですね。
そこで、その関連の質問をちょっとさせていただきたいと思うのです。
社団法人の日本倉庫協会は、運輸省記者発表内容に対する日倉協会長のコメント、こういうものを平成十二年十二月二十日に発表されました。その中で、倉庫業の規制緩和が提起された経緯について納得していない、物流業の中で倉庫業のみがなぜ突出して緩和の対象とされたのか、疑問を呈しています。また、倉庫労働者で組織する全日本倉庫運輸労働組合同盟からも、本年四月二日付で、中央執行委員長名によって、倉庫業法の現行程度の規制は国民経済にとって必要不可欠な社会的規制であるとの観点から、慎重審議を求める要請が届いております。
これらの意見を踏まえ、また物流のボーダーレス化、中小零細企業が大多数を占める倉庫業の諸事情並びにほかの物流規制との整合性等について、国土交通省としてどのような配慮をすべきと考えるか、泉副大臣の方からお答えいただければと思います。
○泉副大臣 旧運輸省時代から、いわゆる運輸業におきます規制の見直しということを各分野にわたって行ってまいりました。そのことは先生も御承知のとおりだと思います。その最大の眼目は需給調整規定の廃止というところにございまして、その前提に立って各事業者が市場原理の中で競争をする、しかし一方で、国民生活に重大な影響を与えないように配慮していく、そうした基本的な考え方に基づいて今日まで規制の見直しを行ってまいりました。
今回、倉庫業のあり方についても、先ほど例に出されました日本倉庫協会あるいは労働組合等からいろいろな御意見があることは私どもも承知をしております。そうした方々の御意見も踏まえる、あるいは御意見をちょうだいするという考え方で、昨年十月以降、倉庫業の規制のあり方に関する懇談会を国土交通省に、旧運輸省に設けさせていただきまして、活発な御議論を展開いただいたわけでございます。
そうした御議論の上で今回の法律案の原案をつくらせていただいたところでございまして、先ほど少し申し上げましたように、倉庫業法制定当時と比較しまして構造設備の水準及びその経営基盤も向上してきている、倉庫業についても国の事前関与を必要最小限とするなど、参入規制及び料金規制の緩和が望ましいという結論をいただき、そうしたことに基づいて今回の法案を提出させていただいているところでございます。
倉庫業の登録制への移行、他の物流の分野と少し違うのではないかという御意見を先生述べられました。確かに、違うところがございます。
しかし、例えばトラック事業であれば安全の管理というようなことを特に重視しなければなりませんし、またタクシー業界にもやはりそれなりの状況がございます。それぞれの業界のあり方を念頭に置きながら、国民生活をどうやって豊かにしていくかという観点から、今回はこのような法律案を提出させていただいた次第でございます。
○阿久津委員 それぞれの業界の性格というか違いは私もよくわかっているつもりなんですけれども、倉庫業界も中小零細企業が非常に多いんですね。過当競争に陥りやすい性格を持っておりますし、また、そこで働く人々も、かなりの重労働、いろいろな厳しい条件の中でやっている。大体、経営が困難になると労働条件の切り下げが行われてしまうので、そこの点に十分留意して運用していただきたい、そのように思っております。
次に、政府参考人の洞駿政策統括官の方にお伺いをしたいと思うんですけれども、今回の登録制への改正によって、経営が不安定であったりサービスが劣悪であるなど、不適切な業者が参入し、これにより我が国の物流に支障を生じるようなことはないか、お答えいただきたいと思います。
○洞政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改正によりまして物流に支障が生じるようなことはないかという御質問でございます。
今回、事業の参入について許可制から登録制へ移行するわけでございますけれども、その要件といたしましては、不特定多数の者から物品の寄託を受けてその保管を行うという倉庫の性格から見まして、保管物品を良好な状態で保管するための必要最低限の規制として、それぞれ保管する物品に応じました構造施設基準を維持するということとしております。
また、倉庫の管理体制につきましては、現在の許可制のもとでは何ら明示的な基準というのはないわけでございますけれども、今回、保管物品の適切な保管を確保するというソフト面から、こういう安全面でありますとか保管の管理に関しまして責任を有する倉庫管理主任者の選任というものを登録制の基準に加えることとしております。
このように、倉庫の基本でございます保管管理体制をきちっと見る、押さえていくということを行った上で、今回の改正は、さらに、事業者間の競争を促進して、事業者の創意工夫を生かした多様なサービスの提供や事業の効率化が可能となるような環境整備を図るというものでございます。
また、万一の不測の事態に備えて、事業改善命令というようなセーフティーネットの措置もきちっと備えておりまして、そういう意味におきまして、御懸念の、今回の改正によって非常に不適切な業者がどんどん参入していって、その結果として物流に非常に問題が生じる可能性というのは少ないのではないかというふうに考えている次第でございます。
○阿久津委員 今の審議官の御説明で、規制緩和を進めるところは進めるけれども、厳しくするところは厳しくするんだよという趣旨はよくわかりました。
規制改革の考え方としては、事前規制から事後チェックへというのは一つの大きな流れではあるというふうに考えておりますが、今回の改正において、料金の事前届け出制の廃止や事業改善命令制度の創設など、こうした考え方を取り入れた理由について、ちょっと先ほどとダブってしまう部分があるんですが、お答えいただきたいと思います。
○洞政府参考人 お答え申し上げます。
料金の設定というものは、先生も十分御承知のとおり、倉庫業者が創意工夫を生かした事業運営を行うという上で最も重要な手段の一つでございます。そういうものに対して事前抑制的な効果をもたらすような規制を設けるというのは、倉庫業の今後の活性化というものを妨げる懸念というものもございます。
また、先ほど御指摘ございましたように、現在、倉庫業を含みます流通業界といいますか物流業界というのは非常に目まぐるしい変化の中にあるわけでございまして、そういうダイナミックな動きの中で利用者のニーズに対応していくというためにも、倉庫業者は、物品ごとあるいは荷主ごとに多様な料金を設定せざるを得ない場面といいますか、そういった状況というのがだんだんふえてきておりますし、また、そういったことに対しまして、料金の事前届け出制が新たな取引契約を機動的に行う場合の障害になる場合というのも考えられるところでございます。
そういう意味におきまして、事前規制は極力縮減していくという政府全体の方針もあるわけでございますけれども、倉庫業界と荷主の間の交渉によって適宜適切な料金設定が行えるよう、料金の事前届け出制というものを今回廃止することとしたわけでございます。
しかしながら、倉庫業界は中小企業者も多く、また倉庫業の公益性というものを十分考えますれば、ダンピング料金の設定など、万が一不適切な料金が定められまして、これによって利用者の利便とか公共の利益が害されているような場合には、これを早急に行政としてチェックするあるいは是正する必要があるということから、今回、事業改善命令というものを新たにつくりまして、不測の事態に備えて国土交通大臣が料金の変更等の命令をすることができることとした次第でございます。
○阿久津委員 著しく高い料金とか異常と感じるようなダンピングについてはきちんとチェックできるんだというお話だと思います。
それで、今回の法律の改正の中では、改正される部分と維持されている部分があると思うんです。そういった大きな流れの中で規制緩和が行われていくわけですが、一方で税制特例措置が継続されているんですけれども、この税制特例措置継続の理由について、政策統括官の方からお答えいただきたいと思います。
○洞政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改正によって倉庫業についての税制特例措置を継続する理由についてお尋ねがございました。
倉庫業につきましては、現在、法人税とか固定資産税あるいは都市計画税などにつきまして各種の税制の特例措置が講じられております。今回の法改正に当たりましても、関係の税務担当部局とも協議を行ったところでございますけれども、許可制を登録制に移行するわけでございますが、倉庫の公益性といいますか重要性というものはいささかもその性格に変更があるものではございませんから、今回の改正においてもこれらの税制の特例措置は引き続き維持されているところでございます。
そもそも、倉庫業にこういうふうな税制の特例措置が設けられております趣旨は、倉庫業というのは、設備産業、一種の装置産業でございまして、そういう意味で多額の投資を必要とするという一方で、その回収には、何十年と非常に長い時間をかけて少しずつ回収していくという、言ってみれば収益性の余り高くない事業でございまして、特別償却でありますとか割り増し償却でありますとか課税標準の特例でありますとか、そういった税制の特例措置というのは、そういった倉庫業の経営に必要不可欠な要素、措置でございます。
そういう意味におきまして、今後ともこれらの措置が維持、継続されるよう私どもとしては努めてまいりたいと考えております。
○阿久津委員 それでは、ちょっとトランクルームの方の質問に移りたいというふうに思うんです。本改正案のもう一つの大きな柱であるトランクルームの問題でございます。
近年、倉庫業における新しい業態として、企業だけでなく個人消費者を主要な対象として家財や書類などを保管するトランクルーム事業が浸透してきております。
トランクルームのそもそもの起源は、昭和六年に江戸橋で三菱倉庫が始めたものであり、これ以降同様の業態が広まり、現在、一般消費者に対するトランクルームの認知度もかなり高まりました。しかし、それと同時に、倉庫業の認可を受けていない業者がトランクルーム事業に参入するようになり、問題のある業者の増加や顧客とのトラブルもふえてきていると聞いております。非倉庫業者はトランクルームを不動産賃貸契約の形で行っているため、荷物の劣化や紛失に対する管理責任があいまいであるということがトラブル発生の大きな原因の一つです。
また、倉庫業としてのきちんとした体制をとり、消費者にしっかりとしたサービスを提供しているトランクルーム業者は、サービスの水準の低い業者も消費者からは同様のトランクルームだと認識されてしまう、要するに、きちんとした倉庫業の体系の中での業者もサービスの水準の低い業者も消費者からはなかなか区別がつけにくいということで、大きな不満も抱かれております。
消費者保護という観点から、トランクルーム認定制度は今後どうあるべきなのか、この点を明らかにするため、幾つかの質問を行わせていただきたいと思います。
先ほど、私、冒頭でも申し上げたとおり、倉庫業は基本的には企業対企業の分野でありますが、トランクルームは一般消費者が相手であり、異質であります。消費者対策としてトランクルームの優良認定制度で対応するという考え方でありますが、その有効性確保においては、消費者の賢明な選択が前提となるということでございます。
今回のような認定制度の創設で、消費者保護や倉庫業者の行うトランクルームサービスにどのような効果が期待し得るのか、お答えいただきたいと思います。
○洞政府参考人 お答えを申し上げます。
トランクルームの認定制度の創設で期待できる効果についてお尋ねがございました。
先生御指摘のとおり、近年、トランクルームに対する利用者ニーズというのは非常に増大しておりまして、トランクルーム事業者というのが非常にふえてきております。
この中には、二つのタイプがあるわけでございます。先生御指摘ございましたように、いわゆる不動産賃貸業という形をとってのトランクルーム事業者、それから倉庫業の許可をとって保管責任を負うという形の契約形態で行っているトランクルーム事業者、二つあるわけでございますけれども、倉庫業者以外のところは私ども統計がないのではっきり言えないのですけれども、トランクルーム業者と多分同じぐらいの数があって、それがどんどんふえてきているというような状況がございます。
そういう中で、倉庫業の許可を受けていない者が物品の保管責任を伴わない倉庫業類似の営業形態を行うケースというのがあらわれておりまして、そういうところで、利用者との間でいろいろな損害とかトラブルが出てきたときに非常にもめごとになって、苦情がどんどんふえてきている、こういう状況です。
また、倉庫業者であるトランクルーム事業者についても、倉庫業法は最低基準しか定めておりませんので、そのトランクルームのレベルというのも、だんだん高度化が、いろいろな性能を要求されるようになってきておりまして、倉庫業者が持っておりますトランクルームについてもいろいろなサービスレベルといいますか、そういったものがございます。
そういうものに対して我々一般消費者は、専門的な知識あるいはそういった事業者といろいろ交渉するテクニックとか、そういったものについてはすべて不利な状況にあるわけでございまして、そういう意味では、安心して利用できるようなトランクルームサービスというものの仕組みというのが求められているわけでございます。
今回、トランクルームの性能といいますか、一定のレベル、扱う物品等において一つ上乗せした基準に合致するようなトランクルームを事業者が申請すれば国がそれを見て認定をするという制度でございますけれども、こういった優良トランクルーム制度の創設によりまして、安心して利用できるよう消費者の選択を手助けするということになりまして、消費者保護の効果がまず上がるということが考えられます。
また、認定をもらう、もらわないというのはあくまで事業者の任意でございますけれども、認定されたトランクルームについては、優良トランクルームというふうに名乗って広告宣伝を行うことが可能となりますので、倉庫業者にとっても、認定が受けられるようにハードあるいはソフトの両面からそういう消費者保護に資するようなトランクルームを整備しようとするインセンティブが逆に働いてきて、全体としてレベルアップが図られていくんじゃないか、こういうことを考えている、あるいは期待している次第でございます。
○阿久津委員 どうも今の説明だとちょっと納得がいかない部分があるのです。果たしてトランクルームを、ちゃんと規制緩和をしているならしているでその方向で行けばいいのですけれど
も、一方で認定制度という形を残している。本当にそれできちんと消費者の方から区別がつくのかなという感じもするのです。
今度は泉副大臣の方に伺わせていただきたいと思うのですけれども、倉庫業者以外の者による人を誤認させる行為の禁止規定により具体的にどのような行為が禁止されるのか。そもそも消費者保護の観点から、保管責任を負わないような営業行為を禁止すべきではないのか、そういうふうに考えております。もっと言えば、トランクルームという名称そのものを倉庫業に限定して使用させる考えはないのか、泉副大臣にお伺いしたいと思います。
○泉副大臣 今回の法改正の一つの大きな柱が、今御指摘のトランクルームの課題でございます。国民生活の中に大変なじんできた言葉であり、また実態であるために、従来のような関係の業者の商行為がそのままでいいのかどうかという検討をした結果が今回の法改正でございますが、御指摘のように、確かに二十五条の十でそのような無責任な行為が起こらないようにということを規定しておるわけです。具体的には、確実に保管をいたしますとか責任を持ってお預かりしますというような広告を出して、だれもが品物をお預かりすることは問題があるという認識でございます。
それは、いわゆる倉庫業法に基づく寄託契約によって物をお預かりする場合と、不動産賃貸業者みたいな方々が保管場所を提供する、野積みの状態のところもありましょうし、簡単なプレハブみたいなものでそうした機能を提供するような場合もあると思います。しかし、どちらを選ぶかというのは、あくまで消費者の選択にゆだねられておるということは、これはいたし方ない点がございます。
しかし、少なくとも、除湿でありますとかあるいは防じんでありますとか、そういう必要な機能をきちんと備えたものを倉庫業法に基づいて優良なトランクルームと認定することによって、利用者の方々に安心して預けていただくということが最も重要だ。
ですから、今先生がおっしゃいましたように、倉庫業に限定してということが一つの考え方ではありますけれども、不動産賃貸業者の皆さんがそうした類似のサービスをすることを利用者が求められる場合を阻止するということは、本来の趣旨ではないというふうに思うわけであります。
これは一つの例ですけれども、横浜市内の電話帳で調べますと、トランクルームという看板を掲げておる二十六事業者のうち、いわゆる倉庫業の資格を持っておられる方は十三業種というふうに、非常に幅広いところでこの言葉が使われておりますので、私どもとしましては、繰り返しになりますが、認定制度をとって優良なトランクルームを明確にして、利用者の方々に御迷惑、御不便をかけないようにしたいという趣旨でこの法案をつくらせていただいたわけでございま
す。
○阿久津委員 三菱倉庫の百年史というのを読むと、トランクルームをつくるに当たって、昭和六年の当初のころから、いかに苦労しているのかが出ているんですね。これほど苦労して開発したトランクルームという新しい分野、これはアメリカにもこのままの形ではないそうなんですけれども、本当だったら商標登録をしておいていただければこんなことにはならなかったと思うんですけれども、なかなかこのトランクルームについては、やはり消費者からすると見えにくいんじゃないかと思うんです。
それからもう一つ。倉庫業者にとっても、優良認定を受けるについて、倉庫業法の一部を改正する法律案を見ても、大体六ページぐらいですか、トランクルームの認定に当たって細かい条件が書いてあるんですね。これを全部クリアしないと認定が受けられない。それで、約款をつけて、細かい作業、事務手続をやって、もらえるのは何かというと、この認定証なんですね。これを張るだけなんですよ。このトランクルーム認定というのがあるんですけれども、今、実情では、ほとんどこれに似たマークを勝手につくって張っている、いかにも優良認定みたいな業者もいるみたいなんですね。
倉庫業のボーダーレス化が進んでいく中で、仕分けがなかなか難しくなっているのは事実だと思います。特に、何々倉庫株式会社というふうに書いてあっても、必ずしも倉庫業者でなくて、トラック業者に分類されているというような例もあると聞いています。一時保管の場合は倉庫業者に入らない、そんなこともあると思います。そんなこんなで、いろいろと新規参入分野、倉庫業のボーダーレス化で厳しいことになっているんですけれども、倉庫業でまじめに運営しようとする人たちが不利にならないように、ぜひ心がけていただきたいのです。
もう時間がなくなりましたので、一つだけ例を申し上げると、トランクルームは倉庫業の許可を受けたということですから、その場合は、都市計画法による立地規制が適用されるために住宅地に施設を建設することができないそうなんですね。だけれども、顧客の多くが一般消費者でありますから、トランクルームは住宅地での潜在需要が大きい。その中にあって、建造物ではない海上コンテナを用いたレンタルスペースサービス、つまり倉庫業ではないものはどんどん自由にできちゃうんですね。こんなこともあって、私は、このトランクルームに関する部分においては、ちょっとまだ法の整備が甘いんではないかというふうに思っています。
それから、ちょっともう時間がなくなってしまったんですが、行政コストの削減効果が果たしてこれらの改正によってどれだけ上がるのかということも本当は聞きたかったところなんですけれども、最後に、業者及びそこで働く人々そして消費者がこの法律改正によってきちんとメリットを得られるような運用をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。