第151回国会 衆議院 国土交通委員会 第14号
2001年05月25日
○阿久津委員 民主党の阿久津幸彦でございます。
本日は、JR東日本、西日本、東海、いわゆるJR本州三社の完全民営化に関する法案について質問させていただきます。
かつてJRが国鉄だった時代、国鉄の運営には常に中央官庁と政治家が介入してきました。旧運輸省の管轄下での経営感覚の欠如や政治家による利益誘導政治によって食い物にされてきた国鉄は、ついに巨額の借金を背負うに至り、そのツケが国民に回されてきたという苦い歴史を持っております。国鉄改革の最終段階に入ったとも言える本法案は、JR本州三社の完全民営化によって中央行政、政治の介入を廃し、また親方日の丸の傲慢な経営姿勢を捨て、利用者や株主に顔を向けた経営を各社に求めるものであり、その趣旨は基本的に評価できるものと考えております。
国鉄改革の趣旨から考えれば、完全民営化後にまず求められるのは、JR各社の健全な経営の確保であります。そこには安全性や利便性といった要因が含まれるのは言うまでもありませんが、さらにサービスの質といったものを向上させる必要があります。また、これまでのように親方日の丸だといって威張っているのではなく、地域を常に意識し、それぞれの地域の特性や需要に合った、真に利用者の立場に立ったJRを目指すべきだと考えております。本法案がこれらの課題への取り組みを十分に保障するものであるのか、本日はそうした点に留意しながら質問を行いたいと思います。
まず初めに、扇大臣に確認をさせていただきたいと思います。JR完全民営化の目的は何でしょうか。よろしくお願いいたします。
○扇国務大臣 阿久津先生が民営化に対して旧国鉄のことをいろいろおっしゃいました。親方日の丸とか、あるいは食いつぶしたというお言葉がございましたけれども、私、かつてイギリスへ招待されまして、国会議員から三名イギリスへ行きました。二週間缶詰になりまして、いろいろなことを見せられました。
そのときに、当時のイギリスの国鉄総裁に当たる方にお会いしました。その人が私に言ったんです、日本は世界一スピードの出る新幹線というのをつくったそうですね、だから赤字になるの当たり前ですよと。赤字だから国有なんじゃないですか、当たり前の話ですよと私におっしゃいました。イギリスは、黒字だったら民営がやるんです、赤字だからこそ国営なんですと。その当時、三人派遣されまして、派遣された三人は、細川護煕先生、お亡くなりになった九州の遠藤先生、私と三人でございました。イギリスの国鉄総裁は懇々とそのときに、今まではイギリスが世界一の国鉄を持っていたにもかかわらず、日本がそれを超えたスピードを出したということで、大変おかんむりでございました。
事ほどさように、今先生がおっしゃいましたように、国有だから赤字なんだということは、むしろ赤字だから国有だというイギリスの総裁の言葉、私はそれは歴史とともに必要な時期があったんだと思います。国有なればこそここまで来たという、それもひとつ阿久津先生に評価していただき、国鉄は国鉄の歴史があるんだということも御認識賜った上で、さりとて、では赤字のままで垂れ流していいのかという原点に立ち、国有鉄道というものが瀕死の重症になっている、今のままではそれこそいつまでたっても赤字解消はできないし、毎年毎年五千から六千億の補助をしなければ立ち行かない、それではいけないということで、これも政治家の大きな政治判断で、私は民営化に多くの皆さんの御賛同が得られたんだろうと思います。
ですから、役人のまま、あのままいっていたのでは私はずっと親方日の丸だったと思いますよ。けれども、そういうところに、政治決断によって、この十四年間を総括すれば本当にすばらしい現状になっているということも含めて、私は、阿久津先生、将来の政治家として、お若いですから、赤字で垂れ流したというだけではなく、赤字だったからこそ、あるいは国鉄だったからこそここまでの国鉄の発展があり得て世界一のスピードも出た、研究開発もしたということもぜひ御理解いただいて、垂れ流しがいけないということで民営化になったというその原点だけはぜひ御理解いただいて、将来の政治家としての成長にぜひお役立ていただきたいと思います。
○阿久津委員 ヨーロッパの事情に明るい扇大臣なんですけれども、私はちょっと今の点だけについて申し上げると、欧米主要国の公共交通の運賃収入比率というのがやはり日本に比べるとかなり低いんですね。これは、やはり私は、少しヨーロッパ諸国と日本における公共交通の考え方が運賃収入の部分においては違うんだと思うんです。それは全体的なバランスでの鉄道の占める割合の違いなどにもあると思いますけれども、そこだけちょっとこちらの方から指摘をさせていただきたいと思います。
質問に移らせていただきたいと思います。
というわけで、未来の話をさせていただきたいと思いますが、完全民営化により、JR三社は自立したサービス産業としての自覚を持って利用者利便のさらなる向上を図っていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○扇国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、完全民営化して、そして一般の民営として利益を上げていける見込みが立った、今日三社一斉に民営化に入った、また入れた大きな要因はそこにあると思います。赤字のままでは、私は、今日の姿はなかったと思います。
そういう意味において、今先生がおっしゃいました完全民営化によって三社が自立したサービスを行う。これは、民営化になったときに、このサービス向上というのは当たり前のことで、これができなかったら民営化しても意味がありません。最初に先生がおっしゃった親方日の丸のままの神経では、とても国民に理解されない、国民に利用されない、国民に愛されるJRではないと思います。
そういう意味では、今先生がおっしゃったことで、この十四年間の実績、サービスの質の向上、先ほども私はお答え申しましたけれども、今私たちがJRに乗って、乗った途端にサービスがよくて、気分がよくて、本当に旅行を楽しめるという気分になる。そして、こういう親切なJRだったら、安心して命を預けて、二時間なら二時間、三時間なら三時間リラックスできるなと。
サービスという、まず精神的な第一印象から、先ほどおっしゃいましたよね、朝から東京駅で八回あいさつされた、困ったとおっしゃいましたけれども、それくらいJRがサービスがよくなって、いらっしゃいませ、ありがとうございましたという、あいさつをするだけでも、本当に昔の国鉄に比べたらひっくり返るぐらいのサービスのよさでございますから、そういう意味では、私は、民営化になることのサービスの意味というのは大変大きい、乗客の皆さんに快い旅をしていただく第一条件だと思っています。
○阿久津委員 そこで、もう少しハードルを高くしていきたいと思うのです。
JR三社に伺いたいと思います。完全民営化後のJR三社の経営戦略というかビジョンについてお伺いしたいと思うのですけれども、御存じのとおり、少子高齢化社会は待ったなしで進んでまいります。その準備と対策をどのように考えていらっしゃるのか、JR三社の方からお答えいただきたいと思います。JR東日本につきましては、先ほど社民党の日森委員との質問の中で大分詳しくお答えいただきましたので、そこについては結構でございます。
○葛西参考人 ただいまの御質問にお答え申し上げます。
少子高齢化の問題は、私どもJRにとりましては、二つの面で影響を持ってくると思います。
一つは、お客様の高齢化という点でございます。
この点につきましては、バリアフリー法が通りまして、国、自治体と協議を進めながら積極的に整備を進めてまいっておりますし、これからも鋭意これを進めまして、高齢化した社会においてお使いになりやすい鉄道をつくってまいりたいというふうに考えております。
もう一つの方は、これは社員の老齢化あるいは新しい社員の採用の困難という観点でございます。
私どもは、これから数年間、千人以上の社員が退職をしてまいることになります。これに対しまして、採用は五百人ぐらいの安定的な採用が可能であるという状況であると思います。
これに対処するためには、幾つかのことを考えておりますが、一つは、定年退職をした社員の再雇用によります労働力の確保でございます。もう一つは、国鉄時代には労働基準法によって深夜労働が制限されておりましたが、これが撤廃されましたので、女子の採用を進めてまいりたいと考えております。それらにあわせまして、今後さらに一層の効率化、機械化を進めまして、要員の削減に努める。この三つを柱にいたしまして、安全で正確で快適なサービスを今後とも維持していけるような体制をとってまいりたいと考えております。
以上で、お答えを終わらせていただきます。
○金井参考人 JR西日本の金井でございます。
今先生お尋ねの少子高齢化の問題につきましては、基本的に葛西社長からお答えございましたのと私どもは認識は一緒でございます。
鉄道需要という面で申しますと、少子化に伴いまして就労人口が減ってくるということで、お客様の減少につながる懸念が一つございます。もう一方、高齢者の方々はかなり元気にいろいろ活動されるという面もございますので、需要面で申しますと、そういった方々にどうやっていろいろな形で旅に出ていただくかということが私どもとしては取り組まなければいけない課題ではないかというふうに考えております。
全体といたしまして、高齢化ということで申しますと、先ほど葛西社長の御答弁の中にもございましたけれども、やはり鉄道を使っていただきやすくするということが非常に大きなテーマということになってまいると思います。
その面で、私どもとしましては、輸送サービスの向上はもちろんでございますけれども、いわゆるバリアフリーへの取り組みということを積極的に進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
また、先ほど触れました需要面の話で申しますと、今JR各社が共通でジパング倶楽部というような組織をつくっております。会員制の、高齢者の方に御旅行いただこうというクラブでございますが、こういったものをさらに積極的に活用して、会員の皆様にふさわしい旅行の提供といったようなことを考えてまいりたいというふうに思っております。
それからもう一方、雇用との関係で申しますと、先ほど申しましたように、就労人口が減少するということは間違いない傾向でございますので、そういったものに、私どもとして、労働力不足につながらないようにどういうふうにしていくのかということが課題になってまいります。
実際に、将来にわたって円滑な事業を運営してまいりますために、効率的な体制をつくりまして、一方ではかなりたくさんの社員が退職する時代を迎えておりますので、そういう中で、一定の社員を採用しながら、それで仕事が回っていくような体制というものをつくり上げていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
○阿久津委員 先ほど金井西日本鉄道副社長がおっしゃったとおり、ほとんどの高齢者の方々は、実は非常に元気で、かつエネルギッシュでございます。
例えば、バリアフリー化との兼ね合いでいえば、エスカレーターとか段差を縮小するとか、バリアフリー化を進めるということは、私は、JR各社にとりましても決してマイナスにならないというふうに考えております。高齢者の方々がより旅行を楽しめるような環境づくりをしていただければというふうに願っております。
それから、一点だけ。車いす対策なんですけれども、その意味でもバリアフリー化をお願いしたいのです。
今、車いすに対して配慮がうまくまだ整っていないJRの駅がございます。そういった駅では、JRの社員の方々がえっさほいさと運んでくださるんですね。それは本当にサービスがいいし、感謝するところなんですけれども、私の父も車いすになってしまって、若い人たちの手を煩わせて運んでもらうというのが心理的に非常に負担だそうなんですね。その辺も考えていただきまして、優しいJR、思いやりのあるJRを目指していただきたいというふうに考えております。
それから、次に雇用問題について伺おうと思ったのですけれども、東海と西日本のお二人の方からはその問題についてもかなり踏み込んだお話をいただきましたので、JR東日本の大塚社長だけにお伺いしたいと思うんです。
完全民営化後の雇用対策についてなんですけれども、特に女性社員の比率の向上などについて、計画とか何かありましたらお答えいただければと思います。
○大塚参考人 雇用対策、特に新規採用について少しお話し申し上げてみたいと思います。
当社は、採用ということにつきましては、会社の業務運営の状況でありますとか、あるいは効率化の推進度合いでありますとか、あるいは将来の人件費負担がどのくらいになるかというようなことを総合的に見まして、このところ年間に男女合わせまして千四百人程度の新規採用を続けてきております。
そのうちの女性の割合というのは大体二百人程度ということでございます。数字的に見ると小さいという印象をあるいはお持ちになられるかもしれませんけれども、実は、先ほどもちょっとお話がございましたけれども、鉄道事業の勤務形態の基本というのは一昼夜交代という形態が圧倒的に多かったわけでございまして、これが女性の職域を狭めておった一つの大きな原因であったというふうに思います。
平成十年でしたか、労働基準法の改正がございまして、その後は、私どもの会社も、駅を中心にして、女性の採用、あるいは女性の職域を広げるということに努めてまいりました。
この女性の社員の比率がどうなっているかということでございますけれども、会社発足時の昭和六十二年四月は全体の社員の中の〇・八%という極めてわずかな比率でございましたけれども、今現在ではこれが二・七%ぐらいまで向上してきているということでございます。
いずれにしましても、今後もこの男女雇用機会均等法の趣旨にのっとりまして、女性の職域の拡大に努めて、積極的に女性を活用していくということに努力してまいりたいというふうに考えております。
○阿久津委員 女性社員の比率の向上に向けて、三社とも、ぜひとも御理解いただき、向上を目指していただきたいというふうに思っております。
それで、時間の都合で、西日本と東海さんにつきましては、申しわけないんですけれども、何かそういうデータみたいなものがありましたら、後ほどで結構でございます、きょうでなくても結構でございます、いただければというふうに思っております。
それから、次は、完全民営化後のJR三社の収益が悪化した場合について。
もう何度も質問が重なっているんですが、お答えいただくと、どうしても、そんなことは考えたくもないというお答えになってしまうようなので、もしそうなった場合、国として何らかの対処をする考えがあるのかどうか。簡単で結構でございます。大臣、お願いいたします。
○扇国務大臣 先生ももう何度も聞いたとおっしゃいましたけれども、私はそれが一番大事なことであろうと思っています。その裏づけがなければ、私は、民営化というのはあり得なかっただろう、そう思っています。
そういう意味では、JR本州三社、先ほども私が申しましたように、足かけ十四年たっております。その間、近年で、三社合計、毎年二千億円強の経常利益を上げるようになっております。それだけの経営努力、本当に私は血の出るような努力だったと思います。
朝も申しましたけれども、その陰で職を失った多くの職員の御家族の苦労も考えながら、残された者たちが必死になって生まれ変わって、この経常利益と国民の皆さんに喜んでいただけるサービスに努めたというこの実績があって初めて今日の民営化の話が進んできて、国民の皆さんに御理解いただけたというのが現状でございますので、もしももしもといって、可能性がわからないのにそういうことを言うこと自身が、私は、職員の士気にかかわる。
今までの十四年間の彼らの働きぶり、彼らの努力、いかに経営努力をしてきたか、そして、国民の皆さんへの、先ほど私が言いましたように、目をみはるサービスぶりの変わりよう、こういう精神から見ましても、私は必ず、基本的に各社が、他の民営の会社と同じような手法をとって、お互いに切磋琢磨して、収益の改善はもとよりのこと、サービスの向上も図りながら、すばらしい民間としての出発をしてくださることと思っておりますし、また、そういう見込みがあるからこそ私は許可したんです。
○阿久津委員 今のお答え、お気持ちはもちろんわかりますし、実績を積んでこられたこともわかっているんですけれども、不測の事態というか、やはり世の中何が起こるかわからない。
そこで、ちょっと頭の体操というふうにお考えいただきたいんですけれども、首都機能移転が行われた場合、JR三社の経営にどのような影響が生ずるかというシミュレーションをやはりするべきだと思うんですね。
葛西社長にお伺いしたいんですけれども、仮に栃木・福島地域に首都機能が移転された場合、JR東海は経営的にやっていけるでしょうか、どうでしょうか。
○葛西参考人 お答え申し上げます。
大変難しい質問でございまして、首都機能移転というのは国会でこれから議論され、決定されていくというふうに理解しておりますが、その移転の場所を仮に栃木というふうに仮定いたしましても、例えば移転される機能の規模その他が未定でございます。そこで、私どもとしましては、シミュレーションをするだけの十分な材料を持ち合わせていないということで、今のところまだ予測を立て、予断を持つことができるというふうには理解しておりません。
まことに申しわけございませんが、そのような状況でございます。
○阿久津委員 三重・畿央の方に首都機能が移転された場合、あるいは岐阜・愛知の方に移転した場合には、恐らくJR東海はかなりよくなるんではないかというふうに思っております。
ちなみに、私は首都機能移転については必ずしもプラスばかりではないというふうに考えておりまして、慎重姿勢をとっている、どちらかといえば反対派でございます。その辺も考えていただきまして、首都機能の移転の問題を考えていただきたいというふうに思います。
ちょっと時間の方もありますので、ローカル線の問題についても伺おうと思ったんですけれども、これはまさにJR西日本さんは日々闘っている問題で、先ほど共産党の瀬古委員への答弁、あるいは同僚の大谷委員への答弁でかなり十分なものをいただきましたので、ここは飛ばさせていただきます。
次に、急に大きな話になるんですけれども、JRは公共交通なのかどうか、一言で、泉副大臣、お答えいただきたいと思います。
○泉副大臣 先生の御質問をどうお答えすればいいのかと思いまして、経済学辞典を調べてみますと、公共交通というのは、自家用輸送と違って、一般に利用が公開されている交通のことで、現在は事業者が営業として提供している。交通サービスが厳密には公共財とは言えないことや、公共性の内容のあいまいさから、公共用交通、公衆交通と呼ぶこともある、こういうふうに書いてございます。
ですから、仮に企業が民間でありましても、その使命には公共的な役割を背負っておるものであるというふうに理解しております。ですから、今日の輸送企業はおおよそ公共交通と言えるのではないか、このように思うところでございます。
○阿久津委員 ありがとうございます。私もそのように考えております。
公共交通的な意味合いと自立したサービス産業という、ある意味では二律背反のこの二つの使命を持っているのがJRであり、逆に言えば、それだけ国民から期待を集めているということだと思うんです。
それで、さらに進ませていただきたいと思うんです。
地方分権との関連について質問をさせていただきたいんですけれども、地方分権のもとでは、公共交通政策についても地方が主体的に決定し、地域のニーズに合ったサービスを提供していく仕組みが求められております。そうした観点から、国土交通大臣が、附則第二条第二項の路線の適切な維持に関する事項を指針として定めるに当たっては、地方自治体の意見も十分酌み入れながら定めるべきと考えますが、いかがでしょうか。副大臣にお答えいただければと思います。
○泉副大臣 指針を定める際の自治体の意見の取り扱いについてお尋ねをいただいたと思います。
この指針を定める経緯については、もう先生御承知でございますので、今さらここで述べることは差し控えさせていただきますが、改革後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた路線の適切な維持に関する事項を指針に定めるということになっておりまして、路線の廃止に当たっては、いわゆる国鉄改革後の状況がどのように変わったかということを当然十分に説明しなければならないと考えておるわけです。
指針制度の運用に当たりましては、このような経緯がございますので、この経緯を十分に考慮することが必要であることは当然でありまして、その際、地方自治体の意見が可能な限り反映されるように努めなければならないと思っております。
先生の御質問の趣旨は、場合によってはパブリックコメントみたいなものも設ける必要があるのではないかという御意向があるのではないかと思いますが、このことにつきましては、私どもの考えでは、閣議決定の内容から見ますと、広く一般に適用される場合にパブリックコメントを求めるという考え方になっておりまして、今回のようなJR会社法の指針というのはJR本州三社及びこれと同視し得るもののみが対象でございますので、特段そのようなことを図る必要はないのではないか、このように考えておるところでございます。
○阿久津委員 今の御説明でよく内容を把握させていただきました。
次に、関連の話になるのですけれども、扇大臣は本当にヨーロッパにお強いので、短目のコメントで結構なんですが、フランスでは、国民の移動の自由を基本的人権として認めて、地方自治体主導で、独自財源を確保しながら、公共交通政策が進められております。日本においても、交通権ともいうべき同様の考え方に基づき、規制緩和の視点に加えて地方分権の観点も組み合わせて、日本における公共交通輸送体系の構築、改善を進めるべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○扇国務大臣 今阿久津先生がおっしゃいますように、フランスのように、まさに国民の移動する権利、交通権、これは私も特別に権利をうたわなくても当たり前のことであると思っております。国というものの体系がどうあるべきかという原点にあると思っています。
日本のように、縦長であり、あるいは国土の七割が山であり、三割のところに我々がひしめいて住んでいる、国民の全財産の七五%はその小さな三割のところに集中している、しかも河川等々のはんらん区域にある、そういうことを考えましても、どうしても国民の皆さん方の利便性、そして文化を共有する国民の権利として、少なくとも国民の皆さん方が快適に生活し、なおかつ通学通勤、そしてお年寄りの病院通い等々、あらゆる生活面において、我々はでき得る限りは国民の皆さん方のそういうことにお役立てできるようなものをつくる交通体系であるべきであると。そのことから、先ほども阿久津先生は、二十一世紀型でちゃんとメンテナンスをやりなさいよ、あるいはそういうことを御指摘になって、皆さん方に、JR三社にも二十一世紀の優しいJRになってくださいという御要望をなさいました。
私はそれと同じことだと思いますので、たとえ年寄りであろうと若者であろうと、先生のように一番元気な年であろうと、そういう差別なく、特に私が申し上げたいのは、国土交通省、陸海空でございます、空港もJRもあるいは船も、あらゆるところで二十一世紀型にしなければいけないということを、またそれぞれの地域のニーズに合った交通体系を私たちが支援し、また指導していくということも含めて、そのための国土交通省であると感じています。
○阿久津委員 どうもありがとうございます。
時間の関係もありますので、少し飛ばしながらいきたいと思います。
JR東海は、平成三年の新幹線譲渡に伴う債務負担問題も背景にあって、これまで完全民営化に慎重姿勢を示してきたというふうに言われております。今回の法改正に当たり、JR東海との話し合いはどのように進んだのか。きょうは葛西社長もいらっしゃいますので、大臣と葛西社長、両方からちょっと聞いてみたいと思うんです。
先ほど質問の中でも、今野議員の質疑だったかな、大臣はお答えになっているのですけれども、例えばいろいろな資料を見ますと、葛西社長は金利リスクを避けて早期に債務を返却していく手だてを講じてほしい、例えばいろいろな方法があるけれども、税金の繰り延べにより、先に債務の返済に充てたいとか、いろいろおっしゃっていると思うんですけれども、お二人でこの問題については相当話し合われたと思います。どんな約束をされたのか、お答えをいただきたいと思います。
○葛西参考人 私どもは、従来より国鉄分割・民営における本州三社の収益調整の結果としまして、大体年収の五年分の債務を背負ってまいりました。そのうち、二兆を超える部分が用地代の拡大によって回収不能の形になっているということを申し上げてまいりました。そして、金利の変動というのは経営者の制御の外にある問題でございますから、これについて早く返済をする手だてを講じることがリスクを回避することであるということを申し上げてまいりました。
ただ、その中で、債務を減らしていただきたいとか、あるいはつけかえていただきたいというふうに申し上げたことはございません。したがいまして、私どもの収入の範囲内でできるだけ早く返すことによって、経営のリスクを回避し、安定的によいサービスを提供できる体制をつくりたいということを申し上げてまいったわけでございます。
今回、法律の議論をする際に、大臣並びに国土交通省の方々には、この必要性についての認識をしていただくということでお答えをいただいております。また、それに対して最善の努力をしていくということも言っていただいたと理解をいたしております。
したがいまして、今回、事前にその種の措置がとられているわけではございませんが、政府において、その必要性についての認識を同じくしていただき、そしてまた最善を尽くしていただくという御姿勢があるということは、私どもとしては、それを今後達成させていくということについての心証を得るといいますか確信を得たということで賛成を申し上げる、早期に成立を期していくということに我々は意を決しているわけでございます。
また、法律が通る際に、本州三社は収益調整という仕組みによって裏表の関係に立っておりますので、それぞれの法的扱いがまちまちになる、区々になるということはまずいということも申し上げてまいりましたが、今回の法案ではその点が明確にされているということで、私どもは、与えられた条件の中で、これまでもベストを尽くしてまいりましたし、これからもベストを尽くしてまいりたいというふうに考えております。
○阿久津委員 今の葛西社長のお答えと先ほどの扇大臣のお答えをあわせると大体わかります。それで、葛西社長、やせ我慢の部分もあると思うんですけれども、頑張ってください、本当に期待していますから。
次の問題に行かせていただきます。JR三島の方に問題を移させていただきます。
残されたJR三島、貨物の完全民営化に対する展望について考えてみたいと思うんですけれども、JR三島各社に対して、平成十三年度までの措置となっております運輸施設整備事業団による経営安定基金の支援策について、今後はどのような取り扱いを考えていらっしゃるのか、安富鉄道局長にお伺いしたいと思います。
○安富政府参考人 JR北海道、JR九州、JR四国及びJR貨物につきまして、完全民営化に向けていろいろ努力してまいったわけでございますが、残念ながら、現在は非常に経営環境は厳しいという状況にございます。
この中で、先生の方から経営安定基金の運輸施設事業団による支援策についての質問がございました。この経営安定基金の支援策につきましては、低金利の長期化という、各社が必死の経営努力をしているにもかかわらず、その力の及ばない要因による経営の悪化ということもございますので、国土交通省として、運輸施設事業団によるいわゆる経営安定基金から借りるという形で運用益を確保するという措置を講じてまいりました。そういう形で運用益の低下をなるべく抑えるというようなことをやってきたわけでございますが、これにつきましては、今後とも各社の経営動向を十分に見きわめて、必要に応じて検討してまいりたいというふうに考えております。
我が国土交通省の中でも、各社と調整しながら、現在、どういう方策があるか具体的に検討しているところでございます。
○阿久津委員 JR三島以上に心配なのが、実はJR貨物でございます。
私は、国鉄改革から始まって、本当に皆様御苦労されてやってこられた法改正だったと思うんですけれども、JR貨物についてはちょっと厳しいのかなという印象を持っています。
そこで、伺いたいんですけれども、JR貨物の収支状況及び今後の見通しはどのようになっているのか。JR貨物のここ十数年の営業利益を見ると、平成六年度から一転して赤字に転落しておりますが、その理由は何なのか、JR貨物の方からお答えいただきたいと思います。
○伊藤参考人 お答え申し上げます。
国鉄時代、貨物部門は大きな赤字を計上していたこともございまして、会社発足前から大変多数の皆様方から経営収支について御心配いただきました。しかしながら、会社発足後六年間は、当時の好景気もございまして黒字経営を続けることができました。しかし、先生御指摘のとおり、平成五年度に経常赤字に転じ、平成八年度には赤字額が百六億円まで膨らみました。その後、実は赤字額は毎年減少しております。実は、本日、十二年度の決算を発表したのでありますが、昨年度は二十六億円の経常赤字でございます。
この原因といたしましては、いろいろございますが、バブルが崩壊し、日本経済が長引く不況下にありまして、全体の総物流量が小さくなっていく中で、トラック等との競争が激化いたしまして、いわゆる運賃単価が大幅な値下げを強いられております。また、阪神・淡路大震災に代表されますように、大変多くの自然災害などもございまして、収益減が予想以上に大きかったためと考えております。ちなみに数字を申し上げますと、一番ピークのときの運輸収入から一番低い運輸収入ですと六百億円も下がった実態にございます。
こういう経営状況を踏まえて、この間、当社は血のにじむような経営改善に努めてまいりました。
一つの例として申し上げますと、会社発足当時、鉄道に従事しておりました社員数は約一万二千人でありましたが、現在は約六千人台に縮減しております。その間には、いわゆる早期退職制度なども入れまして、約二千人の方々にやめていただいたということまでやっております。
なお、本年度は、現在行っております経営改善計画、新フレイト21という名前をつけておりますけれども、その総仕上げの年でございまして、経常利益の確保は十分可能である、こういうふうに私は考えております。
また、来年度以降につきましても、新しく中期経営改善計画を策定しまして、黒字体質の定着を図り、早期の完全民営化への道筋をつける所存でございます。
なお、全国一元の会社でございまして、昨今の環境問題等、我々が鉄道貨物輸送としてやらなければならないものはいろいろございます。一生懸命やっていく気持ちを持っております。
○阿久津委員 非常に強い意気込みをいただきましたので、どうもありがとうございました。
最後に一つだけ、踏切について伺いたいんです。
ボトルネック踏切の十年間での半減をうたった踏切法が改正されましたが、あかずの踏切解消に向けた取り組みに対しては今後とも重点的に実施していくことが重要と考えられますが、今回完全民営化されることとなるJR三社について、今後ともこの点における対策は十分行われることとなるのか、それだけ扇大臣に確認をしたいと思います。
○扇国務大臣 日本の物流の悪さは、私ここで申し上げたとおり、余りにもお粗末である、今の日本の物流のままでは世界に伍していけないということをお答えした覚えがありますし、また御記憶であろうと思います。
物流コストの一番のネックは何か、これはやはりあかずの踏切でございます。そういう意味で、少なくともボトルネックの踏切、全国で一千カ所渋滞しております。
これを何としても解消しようということで、通常国会におきまして、今先生方にも、踏切道の改良促進法、これを改正しまして、私どもは円滑な踏切の改良促進、そして、平成十三年度予算につきましても踏切関係予算を大幅に増額しましたし、また、御存じのとおり、事業のスピードアップを図ろうということで、今後十年間におきましては、ボトルネックの踏切を、今の一千カ所を少なくとも半分にする、こうおっしゃいましたので、私は、それはだめだ、遅過ぎると、前倒しにして、一千カ所の半分だから五百カ所と、それではだめで八百カ所に持っていこうというふうに考えておりますので、これは確実に実行していけると思います。
今先生が御心配のJR三社が完全民営化された場合には、引き続いて踏切道の改良、改善に万全を期す、それには変わりありませんので、JR三社もより順調な進行をしてくれるものと思っていますので、JRが民営化されても私たちの国土交通省の政策には変更はありません。
○阿久津委員 どうもありがとうございます。
JR本州三社の完全民営化に関する本法案は、まさに各社が運輸サービス企業として自立する、その節目となる法案であります。自立した企業になるとはどういうことか。それは、社会に対して、国民、利用者に対してみずから責任を負うことができる企業になるということです。国の手を離れることによって、JRの企業としての社会的責任は一層重いものとなるというふうに考えております。JR各社は、ぜひ、その点を見誤ることなくみずからの責任の重みをかみしめていただきたいというふうに考えております。
これから、JR各社がサービス産業としての意識と自覚を持ってサービスの質の向上を図り、これまで以上の利便性、安全性を利用者に提供すべく競っていかれることを期待しております。間違っても赤字を出して国民にツケを回すという歴史を繰り返すことのないよう最後に一言申し上げて、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。JR三社の御健闘をお祈りしております。